展示品紹介

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ーなつかしの玩具玉手箱ー
【5】有馬の人形筆
 玩具には「からくり人形」という分野があります。糸を引いて動力仕掛けにしたり、ゼンマイ、水銀、砂、水などの力を利用して動かす自動機械の人形です。江戸時代中期大阪(当時)の竹田出雲のからくり人形芝居は大流行しました。写真は神戸市有馬温泉の「人形筆」です。これも素朴ながらからくり人形の一種です。字を書こうと穂先を下にすると軸に仕込まれた豆人形が筒先から顔を出し、横にすると人形は姿を隠します。五色の絹糸の光沢が美しく、郷土玩具の中でも卓越したアイデアを具現したものといえましょうか。かの豊臣秀吉も有馬温泉湯治の際、奥方ねねへのみやげとして求めたといわれています。
 この人形筆誕生のいわれとしておもしろい話が伝わっています。「昔習字のきらいな若君のために考案され、この若君は人形が飛び出す筆のおもしろさにひかれて、字を習うようになった。そしてとうとう能書家になった」というものです。筆を玩具化した着想はほかにはなく、これは硯(すずり)をかたどった京都嵯峨の人形硯、奈良彫人形を墨でつくった奈良の人形墨とならんで書道の三ツ物玩具に数えられています。この三点がそろって近畿地方に集中しているというのもやはりここが文化の中心だったからでしょうか。からくり人形の代表的なものとしては東京都の王子の暫(しばら)く狐(きつね)、金沢の米食いねずみなどがあげられます。

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