展示品紹介

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ーなつかしの玩具玉手箱ー
【10】人吉の雉子車
郷土玩具はその名のとおり、それぞれが郷土の生活のなかから生まれたもので、地方的な特色を十分に持ち、その土地以外には他の追随を許さない形、色彩をそなえています。写真の雉子車(きじぐるま)は熊本県人吉市のものです。
 こけしが東北地方独特の玩具であるように、雉子車も九州地方にだけ分布しています。特に人吉市を中心とした球摩川流域のものは、車輪部分を丈夫につくり、大きなものは長さ七十センチ、子供が馬乗りになって山の傾斜を滑り下りて遊びました。土地によっては「きじ馬」とも呼ばれました。
 この種の玩具が九州地方にだけみられる理由としては次のようなことが考えられています。平家の落人の山奥暮らしから生まれた説、雉子が瑞鳥(ずいちょう)として珍重されたという説、帰化人による海外文物渡来節、きじ馬(木地馬)の話から神前奉納の絵馬節。いずれにしてもその発生ははるかに古く、伝統の郷土玩具というにふさわしいものです。初期には、桐の荒削りに松材の車をつけ赤はアセビ、黄はクチナシ、緑は麦の若葉などの植物染料で模様を描きました。
 また、頭に「大」の字がありますが、これは昔、人吉の奥の大塚という木地屋集落がこれをつくっていたという印です。

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