展示品紹介

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展示品紹介


展示品紹介
―なつかしの玩具玉手箱―
【32】薩摩の糸雛
 かつて節句といえば、三月の桃の節句が中心で、男の子の人形も
雛とともに飾られたといいます。端午の節句の内飾りは明治も半ばを
過ぎてから今日のようになりました。
 日本の人形の中枢をなす雛人形は郷土玩具の中でも主要な題材で
す。内裏雛のほか、人形(ひとがた)としての民族信仰を受け継ぐ「
流し雛」、船の安全を祈る「船魂様」、七夕飾り、陰暦八月一日の「
たのもの節句」の「八朔雛」など、人々の生活の季節季節を彩りま
した。
 九州鹿児島地方郷土雛である「薩摩糸雛」は頭部も手足も省略し
極限まで簡素化しました。
 半割の竹を心棒にした紙製の立ち雛で、竹を雛の首に見立て、先
端につけた麻糸を後ろに垂らして髪とし、五、六枚の色紙を重ねて
厚みを出して衣装とします。正面に描かれた垂れ絵で、男雛、女雛
を区別しました。写真は高砂の翁と姥ですが、ほかには義経千本桜
の静御前と忠信、竜宮の浦島太郎と乙姫などの一対物の図柄があり
ます。戦前までは、これを三月の節句に内裏さまに添えて飾る風習
がありました。
 人の形をうつした人形は家族、特に子供たちの厄を引き受ける不
思議な存在として、地域社会の深く根をおろしていました。

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