展示品紹介

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展示品紹介


展示品紹介
―なつかしの玩具玉手箱―
【38】城崎の麦わら細工
 兵庫県城崎温泉といえば、古来名湯として語り継がれ、志賀
直哉の「暗夜行路」の舞台になりました。大谿川を挟んで立ち
並ぶ旅館街は、しだれ柳の影を川面に映し、古風な風情を漂わ
せています。ここの名物が「城崎の麦わら細工」です。
 麦わら細工は漂白した麦わらを種々の色に染め、その麦わら
を開いて引き伸ばし、一枚の細長い板状にします。それを鋭利
な刃物で切り刻み加工しました。
 これは東京・大森の麦わら細工と並び称される名産です。発
祥は郷土玩具(がんぐ)のほとんどがそうであるように、江戸時
代享保年間(1716-1730年)で、この地に湯治に来た者が、つれ
づれの手作りに竹笛や独楽(こま)に色染めの麦わらを張り付け、
宿の軒につるして売り出したのが始まりと言われています。当
時は湯島細工と呼ばれていました。
代表的な作品は子供の指輪です。赤、青、黄、緑、紫に染め
た麦わらを幾何学模様に編んでいます。黄色などはとても麦わ
らとは見えず、ゴールドかと見まごうばかりの出来栄えです。
 子供の指輪というのも面白いと思います。ほかに動物や箱、
敷物もありました。
 江戸時代、長崎出身のオランダ商館医師シーボルトも、コレク
ションにこの城崎の麦わら細工を加えています。

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