展示品紹介

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  展示品紹介


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―なつかしの玩具玉手箱―
【48】尾道の田面船
 旧暦八月一日は八朔(はっさく)といい、農村では、その年の豊作を祈る田面(たのも)の節句です。西日本に多く残っている習俗で、瀬戸内海の尾道には経木製の八朔の田面船、九州芦屋には、この初節句を迎えた子供たちのために紙の武者人形を乗せた八朔わら馬などがあります。
 尾道港は昔から、この地方の備後米の積み出し港として栄えてきました。当時の松前(北海道)通いの千石船(北前船)を玩具化したものに、農業祭が結び付いたと考えられています。
 田面は田の実りのなまりで、農産物の豊作を意味します。田面様は農神ですが、特に神社があるわけではありません。各家庭で、この米の粉で作った「しんこ細工」を乗せ神前に供えました。八朔にしんこ細工を作る風習は、瀬戸内地方の各地にあったということです。
 また、田面船は農作祈願のほかに、男児の無事成長を願うことにも使われました。この船にしんこ細工の人形を乗せて産土神(うぶすながみ)に参けいします。船の帆柱に穴があいているのは、これを贈られた幼児が一人歩きできるまでは天井につるし、歩けるようになると引いて遊びました。
 田面船は海と農業と成長祈願が結びついた全国でも珍しい玩具といわれています。

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